本州では6月夏至の頃には咲き出すセントジョンズワートですが、北海道では若干遅い7月が最盛期となります。
毎年、浸出油とチンキを作るために今年も送っていただきました。
セントジョンズワートは、精神的な落ち込みや軽度のうつ的な症状の緩和にサプリメントとして用いられることはよく知られていますが、実際に使用され始めたのは1980年代と最近になってからの話。
サプリメントとして登場する以前のセントジョンズワートは、どのような植物として人々との関わり合いがあったのか、久々に本に目を通してみました。
本箱の奥にしまわれていたスザンネ・フィッシャー・リチィさんの本を手に取ってみた。
「天の香り」、「樹(バーム)」、「大地の薬」の3部作を本箱から取り出し、ぱらぱらとページをめくりながら、気になる植物のところ拾い読みした。
私がドイツでセントジョンズワートの話を聞いたのはもうかれこれ17~18年前のこと。
まだ、アロマセラピスト育成の仕事をやっているころで、神経痛やリウマチ、打撲などの痛みのある部位にセントジョンズワートの浸出油を使用すると良いという話をドイツ人の先生から教わった。
すぐにセントジョンズワートのことが書いてある本を購入したが、残念ながらドイツ語は分からない。でも黄色の花からあの赤い色素であるヒぺリシンが抽出されて、その成分が痛みに良いと書いてあることは理解できた。
リウマチの関節痛に苦しんでいる方がいたので、さっそく使ってみたい!と浸出油も買い求めた。
それ以来、ドイツといえば薬草の国、ドイツの植物に関する書物を購入するようになった。
そのうち、アロマセラピーを学ぶ上でバイブル的な存在になったのは、言うまでもない『天の香り』である。ひとつひとつの精油の説明には、神話の世界とのつながり、人と植物の長い歴史上でのかかわりもしっかり描かれているので、読み物として非常に参考になると思います。
◎スザンネ・フィッシャー・リチィさん『大地の薬』より。
(『大地の薬』では、セントジョンズワートをオトギリソウと記載しています。)
古代からセントジョンズワートは夏至とのつながりがあった。
6月21日頃、太陽は最も高い位置に達し、昼が一番長く夜が短くなる。
光は闇を制し、太陽は地球と”結婚”する。
大昔から人間はこの日を光と大地が、霊と物質が結びつく祭りとして祝ってきた。
宇宙における現象のシンボルとして聖なる結婚式が儀式と踊りで進められ、僧侶や巫女によって執り行われる・・・・・
太陽の力と闇を呪縛する力があると人間が考えた植物のなかで、この祭りと特に結びつきが深く、神聖な植物のひとつとしてセントジョンズワートがあげられている。
人々はセントジョンズワートで祭壇を飾り、夏至の火をめぐる踊りのときは花の咲いているセントジョンズワートで編んだ花輪を、光の力との結びつきのしるしとして頭にのせた。
黄金色の五弁の花は小さな日輪のように輝き、数多い雄しべは火花のように光っている。
キリスト教徒はそれに主イエス・キリストの5つの聖痕をみた。
セントジョンズワートの花を指でつぶすと汁が出るが血のように赤い。
花のまわりに黒っぽい点があり、赤いオイルが含まれている。
人々はそこに、太陽の生命力をこの赤い滴のなかにとり入れ蓄積するセントジョンズワートの能力を認めた。
私たちの体が生命の液体である血液をもっているように、セントジョンズワートは太陽の生命の液体、すなわち太陽の力の元であるルビー色のオイルをもっている。
光の力はそのなかに完全に凝集されていて、セントジョンズワートはこの力を人間に渡してくれる。
人間は光に体を開くことによって癒される。
私たちの心が暗く、重いとき、未来に光明がみえないとき、この植物は気分を明るくしてくれる、もっともよく知られた抗鬱剤のひとつだ。
『大地の薬』のなかで、リチィさんは12頁にわたってセントジョンズワート(オトギリソウ)について記述しています。
16世紀 医師、化学者、錬金術師のパラケルススも、セントジョンズワートは神が人間を助けるため、癒すために贈ってくれた万能薬であるといっています。
医者がこの植物をみつけて正しい薬として患者に処方するようにと、神が自然界にそっと置いたものとも言っています。
そのパラケルススも、当時すでに意気消沈、メランコリー、ヒステリーに処方していたとの記述もあるそうです。
古代から現代にいたるまで、神のごとく、または太陽の力を蓄えたセントジョンズワートがいかに大事で神聖な植物であったかがわかります。
今日では化学的に含有成分も機能性も解明されていますし、世界的にも鬱の改善にサプリメントが利用されており、臨床例もたくさんあがっています。
ハーブティーはブレンドがお勧めです。
精神的に追い詰められたときは、レモンバームと組み合わせて飲みやすくします。
不安で眠れないときは、個人的に私はバレリアン!なのですが、匂いが・・という方はパッションフラワーでもいいでしょう。
そして、腰痛持ちの私は浸出油は欠かせません。毎年必ず作ります。
痛くなる前にすぐ塗ります。??もしかすると痛みがくるかも・・の前兆があるときには、ローズマリー精油やラベンダー精油を1,2滴いれてお風呂上りにオイルマッサージします。
人それぞれ肉体的にも精神的にもきつい!!と感じることあると思います。
そんなときセントジョンズワートを利用して、体と心に光を届けましょう。
温かく、明るい太陽のような力をもっている花がまさにセントジョンズワートです。
もちろん含有成分ヒぺリシンに光感作があることや、多くの医薬品との相互作用があり、厚生労働省から注意が喚起されていることを忘れずに!!
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