23日(土)、Mikami Labでは”ラベンダー祭り”と題してワークショップを開催しました。
しまだりえ先生にはラベンダーバンドルズや花籠を編むクラフトつくりや防虫スプレーつくりを担当していただき、傍らでラベンダー蒸留を行い蒸留水もお持ち帰りいただきました。
ラベンダーは北海道富良野町から取り寄せました。
最近は関東、関西地域でもラベンダーを栽培し、6月に入るとラベンダー摘みができる農園が増えて、FB上に楽しそうにラベンダーを摘んでいる写真がのっているのをみかけます。
でも・・・香りがやはり違うのです。香りの奥深さが違う気がするのです。
ラベンダーの日本渡来は江戸時代後期頃ですがなかなか定着はしなかったようです。
1930年代に曽田香料が北海道に種子を導入しましたが、産業発展とはならず、ラベンダー農家もひとつ減り、またひとつ減りと衰退していきました。
北海道の土地がラベンダー栽培に適しているのではないかと期待されたものの、なかなかうまくはいかなかったようです。
一躍有名になったのは、紫色のラベンダーの花が山一面に咲き誇る観光ポスターです。
人々の目に留まり、富良野といえばラベンダーの町と知られるようになり、夏になると多くの人が訪れるようになりました。
皆さんがよく知っている”富田ファーム”によって観光産業として栄え、復活したのです。
故富田さんのラベンダー栽培の苦労話を聞いたことがあります。
何回もあきらめかけたこともあり、毎日が葛藤とのたたかいだったそうです。
広大な土地、あたり一面に咲き誇るラベンダー畑のすばらしさ、ラベンダーの色、香り・・
ラベンダー精油の香りに心と身体を静かに、穏やかに、ゆっくりと癒す奥深さを感じます。
極寒の土地で、苦労しながらもラベンダー栽培をしつづけた歴史が物語るのでしょうか。
ラベンダーに適した土壌が北海道富良野にはあったのだと思います。
ラベンダーは品種が多く、アロマの精油やメディカルハーブとして安全に使用できるものと園芸種として観賞用に楽しむものとがあります。
園芸種は、フレンチラベンダー系や交雑種のもので、花は見た目には可愛いのですが、香りとしてはカンファ―臭が強いものもあるので、精油やハーブに使用することはできません。
私たちが安全に使用できるものはイングリッシュ系で、代表としてLavandula angustifolia
イングリッシュラベンダー、真正ラベンダー、コモンラベンダーとも呼ばれます。
今回のセミナーで、しまだ先生は3種の富良野ラベンダー精油を用意してくださいました。
それぞれの精油の香りを嗅ぎ、どんな香りなのか、どんなイメージをもつか、どのような香りの特徴があるか・・・など、香りから精油名を当て、好みの精油をみつけていくという香りを比較する内容を講座の中に組み込んでくださいました。
この”香りを知る”、”香りを記憶する”、”香りにイメージを膨らませる”ということは、香りを創る(創香=香水をつくる)ときにとても大事な要素となるものです。
また、施術するときに、クライアントの状態にあわせたブレンドオイルを作る際にも必要になります。
記憶、イメージを自分の言葉で表現するという行為は簡単なものではありませんが、そこは経験を踏まえると、思いがけず良い香水が創れたりもしますよ。
富良野のラベンダーの多くはイングリッシュ系です。
①もっとも古い品種は、”ようてい”(羊蹄、1号)で、爽やかな香りで香粧品向き。
②”ハナモイワ”(花藻岩 2号)は、蕾の時は白く開花すると薄紫と色が薄いのが特徴。
やわらかい香りで化粧品や香料向き。
③”濃紫3号” 早咲きの品種。花冠も蕾も濃紫色。甘くフルーティですが、香りとしては濃厚でトップからミドルノート。香りが長続きするのでドライフラワーやポプリ用として人気があります。
④”オカムラサキ”(丘紫 4号)北海道で最も多く作られて精油は大人気。花穂が長くバン
ドルズなどのクラフト向き。
酢酸リナリルやリナロールが優しい香りを放ち、精神的安らぎには欠かせません。自律神
経のバランスをとる代表的なものとなっています。
⑤”ラバンディン” Lavandula x intermedia
イングリッシュ系の angustifolia と latifolia (スパイクラベンダー)の交雑種。
耐寒性、耐暑性があり、大株で栽培しやすい。フランスではイングリッシュ系が少なくな
り、もっぱら最近は育てやすいこのラバンディンに置き換わっているようです。
カンファ―が少量含有されており、刺激的な香りがしますが、スカッと爽やかで抗菌作用
もあり、虫よけスプレーなどに使用されています。
私は肩こりや筋肉痛があるときは、ラベンダーではなくラバンディンと使用します。
数十年前にフランスプロヴァンス地方にラベンダーの蒸留所を見学に行ってきました。
フランスの山はそれほど高くはなく、約2000mほどですが、山のふもとにはあたり一面のラバンディンが植わっていました。
800m~1200mあたりにイングリッシュラベンダーが栽培されていましたが、現在はもうラバンディンに変わっているかもしれませんね。
高地にはラベンダーは生えません。1200mあたりが限界なのかもしれません。
山の岩肌にポツンと野生のラベンダーがへばりつくようにはえているのを見かけました。
野生ですから、ひとかたまりになっているわけではなく、一輪ずつが点在してひっそりとはえているのです。
その昔、農夫たちは手押し車で山に登り、岩肌の野生ラベンダーを一輪ずつ摘みながら移動し、手押し車がいっぱいになると山を下り、蒸留所にラベンダーを持っていき賃金を得たそうです。
ときどき、野生のラベンダー精油を販売しているのを見かけますが、とても貴重な精油だと思います。
反対に、香りはどうみてもラバンディンなのに真正ラベンダーとして売っていたりします。
そんな場面に遭遇すると、とても残念な気持ちになります。
香りは土壌、天候、収穫時期によっても違いが出てきます。
毎年、同じ香りになることはありません。
自分の好みの香りを見つけ、香りに深みをもたせるために他の精油をブレンドしたり・・と
香りは心も身体も元気にしてくれます。
香りっていいですね。
Comments